バリューアットリスク(VaR)とは、特定期間におけるポートフォリオが直面する潜在的な損失の最大値を示す指標である。
## 概要
VaRは20世紀後半に金融工学分野で体系化された。市場リスク評価や内部管理において、投資家の資産に対するリスク許容度を定量的に表現しやすくするための手法として発展した。効率的フロンティアやCAPM理論と連携して使用されることも多い。
## 役割と機能
VaRはポートフォリオのリスク管理において重要な役割を果たす。投資家の損失許容度を明確にし、市場変動による潜在的な損失水準を把握するための指標として用いられる。また、ベータ係数やシャープレシオと組み合わせて、リスク調整後のリターン分析を行う際の基盤となる。
## 特徴
- **定量性**: VaRは具体的な数値でリスクを表現するため、比較的直感的に理解しやすい。
- **期間指定**: 指定された時間枠内で発生しうる損失を評価できる。
- **確率に基づく**: 通常95%または99%の確率で発生すると予測される損失額を示す。
- **市場変動リスクのみ**: マーケットリスクに焦点を当て、信用リスクや流動性リスクはカバーしない。
## 現在の位置づけ
VaRは現在でも金融機関におけるリスク管理の重要なツールとして使用されている。ただし、極端な市場変動(テールイベント)に対する評価力が低いという課題も指摘されており、CVaR(Conditional VaR)などの補完的な指標との併用も検討されている。規制当局においては、バーゼル規制の一部として採用され、金融機関の自己資本要件の設定に影響を与えている。

