財政乗数とは、政府支出または税制変更が国民所得に及ぼす影響度合いを示す経済指標である。
## 概要
財政乗数は、ケインズの理論に基づいて体系化された。政府による公共投資や失業手当などの直接的・間接的な支出効果を通じて、国民所得全体が拡大するメカニズムを説明する。また、プライマリーバランスと相まって財政政策の効果性を測る指標となる。
## 役割と機能
財政乗数は、景気後退期における需要喚起策や緊縮財政による経済への影響度を分析する際の重要なツールである。また、ビルトインスタビライザーとともに、自動的な安定化装置としての役割も果たす。
## 特徴
- **非線形性**:国民所得水準が低いほど財政乗数は大きくなる傾向がある。
- **需給関係による変動**:経済活動の供給側制約が大きい場合、財政乗数は小さくなる。
## 現在の位置づけ
現代では、財政乗数の大小を予測するためのモデルや実証研究が多く行われている。また、リカードの等価定理との関係性も考察されるなど、理論面での深化が進んでいる。一方で、近年の世界的な経済危機においては、財政乗数の影響力が再評価されつつある。

